妊娠中のマイナートラブル:妊婦さんの貧血
妊娠すると貧血になりやすい
聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
身に覚えのある妊婦さんや出産経験者も多いことでしょう。
特に最近はもともと貧血気味という方も多いようです。
かく言う私もご多分に漏れずその一人でした。
鉄分を補給するために鉄材を飲んだり、注射をしたり。
その後は気分が悪くなったり、トイレに行くとコロコロと黒い物体が・・・
ではなぜ妊娠すると貧血になるの?が今回のテーマ。
①赤ちゃんが鉄分を必要とするから
これは何となく『そうだろうな』と思うところでしょう。
もちろん赤ちゃんの成長に必要な栄養でもあります。
もうひとつ、
②妊娠中は血液量が増えるが、その成分は同じ比率では増えない
ことが鉄欠乏性貧血の大きな原因となっていることは意外にご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
鉄に関わるヘモグロビンを含む赤血球などは増えず、水分が90%もある血漿成分が増えるのです。
つまり、全血液量に対しての赤血球の割合が減る=薄くなるということで、相対的に貧血になります。
妊娠して特に食生活の変化もないのに貧血になるのは、赤ちゃんが必要とするだけでなく、こうした血液量と成分の変化によるところが大きいのですね。
非妊時からぎりぎりのラインだった方は、妊娠すると貧血になってしまうのも納得です。
私も子供二人の妊娠中にはそんなことは全く知らず、貧血と診断され、レバーペーストやプルーンを意識的にとっていました。
妊娠中の血液量は、非妊時の1.4~1.5倍に及ぶそうです。
非妊時の体重50kgの女性の血液量が約4リットルとされているので、 妊娠すると1.5倍の6リットルまで増えるということ!
1Lの牛乳パック2本分の血液が増えるってすごくないですか?
1Lのパックってかなり重く感じますよね?
それだけの量の血液が増えるということは、血液循環に関わる心臓にとっても大きな負担になるということです。
がんばってくれてますよ~、心臓^^
妊娠中の母体の変化を学べば学ぶほど、『女性って、生物ってすごい!』と感じるのですが、この血液量の増加もその神秘なんです!
血液量が増えるのは、分娩時の出血に備えるための身体の働き。
分娩時の大量出血は生命に危険を及ぼしかねません。今でも出血多量で亡くなる方がいらっしゃるそうですから。
もちろん妊娠中の赤ちゃんに栄養や酸素を送るための役割を担ってもいます。
先ほど心臓ががんばっていると書きましたが、妊娠中は他の臓器にも負担がかかり、産後は産道の傷だけでなく、そうした臓器の回復にも十分な血液が必要となります。
育児にも、ですよね。
さてさて、妊娠すると疲れやすくなったり、息切れや動悸、頭痛やめまいなどの症状が現れることもあります。
その原因の一つもこの貧血。
産後うつにも貧血が関わっているとも言われています。
ということで、妊婦さんにとって貧血は最重要課題の一つとなります。
しっかりと意識して補っていきましょう!
鉄分補給についてはまたあらためて。